
*[文書01~021を一括で閉じる]*
…
遥か遠くの星を探索するのがボクの役目なのに、まさか母星の歴史について調べ回っているなんて。
*[溜息]*
…参考になりそうな資料は…これだけか。やっぱり、決め手になる情報は得られなかった。
歴史はボクの専門外だけど、それでも持ちうる限りの知識の中に「○○年、他の星から移住してきました」なんて年表は無い。
学校の歴史の授業にも、人類史のドキュメンタリーにも、多くの人が共有してる一般常識にも、どこにもない。
*[発掘データ:研究員の書記の転写メモを開く]*
…
今になっては普通だけど、当時の人たちにとって時空間歪曲技術はきっと異常現象だっただろう。
そんな世界を揺るがすようなアノマリーを扱うなんてことは、「絶滅を回避する」という重大な目的のもとで全人類が団結して管理と制御をしたからこそ成し遂げられた。
だからこそ、ご先祖さまは、"贈り物"を後世に残したくなかった。
そこまでの用意がなければ扱いきれない。いつかきっと誤る…そう判断したんだろう。
"贈り物"の知識は消さねばならない。そのためにはまず、移住してきたという事実そのものを隠す必要があった。
コイツを使って。
*[モニターを指で小突く]*
記憶処理技術。この長旅の間、何度かお世話になった。もっぱら、精神を正常に保つための医療措置としてね。
これは不都合な記憶を消すだけでなく、その穴埋めに別の記憶を忍ばせることもできる。
*[椅子にもたれて天井を仰ぐ]*
…
おそらく当時の人々は、時空間ゲートを通じて、滅びゆく故郷から新天地へあらゆる物を運んだ。科学技術、農業インフラ、生き物、遺物、失いたくないものならなんでも…
文明を再構築するために、途方もない苦労をしたことだろう。きっと第一世代、第二世代、第三世代と長い時間をかけて。テラフォーミングにまで手を出したかもしれない。
そして、移住が完了したどこかのタイミングで、記憶と記録の書き換えが行われた。
移住に費やした長い長い期間を、偽の時系列で埋めた。
「人類は初めからこの新天地で繁栄してきた」ことを、誰もが信じて疑わなくなるような、完璧に整合性が取れる偽史…。
そしてゲートを閉じ、全ての人類、全ての科学者たちの記憶から"贈り物"を消し去った。
…ほんとうに?
*[ホロウィンドウを表示する]*
資料を漁っているときに、少し興味深い記述を見つけた。
宇宙開発史において、ワープ航法の理論が確立されたのは、恒星間宇宙船の基本形が完成するよりも先だった、とある。
この事実そのものは、驚くべきことではないけど…これでふと、気が付いたんだ。
ご先祖さまは高い科学力を持っていたけど、唯一、宇宙に関する技術は乏しかったとみえる。彼らは故郷の星に居た頃、時空を超えるどころか太陽系の外に出る技術すら持っていなかった。
だからこそ、"贈り物"を頼らなければならなかった。
移住完了後"贈り物"に関する全てを失い、宇宙船の基本形がまだできてもいない段階で、
亜空間推進型ワープ航法なんて次世代スケールの技術を一気に実用化まで発展させられたのは…本当にボクら人類の実力だったんだろうか?
それとも、"贈り物"の知識は本当に消え去っていたのか?
*[チャットウィンドウを表示する]*
*[AI_crewを呼び出す]*







































